長崎県西海市の2女性殺害事件を巡り、千葉県警習志野署員がストーカーの被害届受理を先送りした直後に慰安旅行をしていた問題で、千葉県警が4月23日、旅行が捜査に影響を与えたことを認める再検証結果を公表した。 鎌田聡本部長が訓戒処分を受けるなど千葉県警で21人が処分を受け、7人が口頭厳重注意などを受け、ほかに長崎・三重県警で1人が処分、5人が口頭厳重注意など大量処分となった。 再検証結果は千葉、三重、長崎の3県警が3月に公表した事件対応の検証結果に旅行の事実が盛り込まれなかった点について、「事実を伏せておくような指示や協議はなく、旅行の影響を過小評価していた」として、組織的な隠蔽の意図はなかったと結論づけている。 またストーカー被害を受けていた女性に被害届受理の先送りを伝えた同署刑事課係長や、ストーカー対策の責任者である同署生活安全課長が旅行に参加しなければ、「より踏み込んだ対応ができた」と指摘し、さらに署長や副署長らも積極的に対応していれば「(殺害の)発生は回避できる可能性があった」と言及して、「幹部としての役割を果たしていない」とした。 当初の検証段階では、同署刑事課係長が「旅行が理由で女性からの聴取を先送りしたわけではない」と証言し、その報告を受けた刑事部幹部はいずれも「問題なし」と判断していた。 その結果、旅行問題が報告書に盛り込まれなかったが、一方、本部長に報告する立場の森末治刑事部長は、部下から旅行の報告を受けながら、具体的な説明がなく、旅行についての認識を持てなかったとしている。 こうしてまとめられた当初の検証を再検証は「被害者や国民の視点での評価がない」と断じた。 処分発表と合わせて、警察庁などは鵜沢憲一生活安全部長を千葉県警地域部長に、森末刑事部長を警察庁長官官房調査官に27日付で異動させる事実上の更迭人事を決め、戒告処分を受けた習志野署の大場仁志前署長は23日付で退職した。
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