北九州市小倉北区の市立医療センター(約600床)が16日、前立腺癌で入院した市内の男性患者(73)に手術後、催眠鎮静剤を投与したところ、呼吸が弱まって低酸素性脳症に陥り、意識障害が残ったことを明らかにした。 催眠鎮静剤には呼吸を抑制する副作用があり、病院側は「投与時に医師が立ち会っておらず、安全管理に問題があった」とミスを認めている。 センターによると、男性は8月18日に、前立腺の摘出手術を受けて、3日後の21日未明、手術後の高齢者に起きやすい「せん妄」という精神機能障害を引き起こし、点滴を引き抜くなどした。 担当看護師が男性に催眠鎮静剤を点滴で投与したところ、男性の心拍数や呼吸数が極度に低下して、当直医が数分後に駆け付け心臓マッサージなどを行ったが、低酸素性脳症に陥ったという。 男性は全身麻痺で寝たきりの状態となり、呼びかけに反応するものの、意識がもうろうとしており、回復は難しい状態という。 センターの医療事故調査委員会が事実関係を調査し、鎮静剤の点滴については、20歳代の男性副主治医が手術前、せん妄を発症した場合、投与するよう看護師に指示しており、投与量に問題はなかったとしている。 この結果を受けて、センター医療安全管理委員会が今月8日、「医師が立ち会っていれば、すぐに処置できた」と結論付け、副主治医と主治医・院長の3人を内規による注意処分としており、今後、鎮静剤を使う際のマニュアルを作り、使用時には、心肺蘇生ができる医師が立ち会うよう徹底するとしている。 センターは同15日、患者の家族に謝罪しており、今後、損害賠償の交渉を進めるという。 16日、記者会見した光山昌珠院長は「ご家族に深くお詫びする」と陳謝した。
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