東京都板橋区上板橋の宿泊施設「ふじや旅館」で5月30日夜、男性2人の遺体が発見される火事があり、区が31日、自立支援施設などへの入居を嫌がるホームレスに対して、生活保護を受給できるように同旅館への入居を斡旋していたことを明らかにした。 死亡者の1人は、こうしたホームレスだったとみられるという。 警視庁板橋署によると、火事は5月30日午後9時50分ごろ発生して、木造2階建て建物約450平方メートルが全焼し、2階の廊下から、旅館に住んでいた経営者の羽田隆英さん(54)と50代の住人男性とみられる遺体が見つかった。 約60年前から営業していた同旅館は、約10年前からホームレスを受け入れており、区によると、ホームレスには自立支援施設などへの入居が勧められているが、施設の管理を嫌がるケースが多く、そこで、緊急措置として住所を確保するため、比較的自由に寝泊まりできるこの旅館を一時的に寝泊まりする場所として斡旋していたとしている。 火事当時、20〜60代の生活保護受給者の男性6人が入居しており、最長で1年7カ月の受給者もいたことが判明しており、家賃は生活保護受給者を対象に行政側から支給される住宅扶助費の月額上限額の6万9800円だった。 2階の空室が激しく燃えたが、出火原因は不明で、旅館では2月にもぼやがあり、東京消防庁から今年に入って2回、消火器などの消防設備の点検報告がないとして是正指導を受けていたという。
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