駐車中の乗用車を盗んだとして、福岡県警筑紫野署が25日、福岡市消防局中央消防署職員、藤(とう)健二郎容疑者(21)=福岡市博多区麦野6=を窃盗容疑で逮捕したことを明らかにした。 藤容疑者は「酒を飲んで電車で寝過ごしたので足代わりに使った」と話し、基準値を超えるアルコールが検知されていることから、同署は道路交通法違反(酒気帯び運転)容疑でも今後調べを進めるとしている。 福岡県では22日に全国で初めて罰則を付けた飲酒運転撲滅条例が成立したばかりで、官民挙げて飲酒運転追放に取り組む中で、消防署員が起こした事件は改めて批判を浴びそうだ。 容疑は、25日午前1時40分ごろ、福岡県久留米市上津町の飲食店駐車場で、同市の会社員男性(25)の乗用車(36万円相当)を盗んだとしている。 同署によると、藤容疑者は24日夜に福岡市内で職場の先輩と酒を飲み、西鉄天神大牟田線で帰宅しようとしたところ、久留米駅まで寝過ごして、帰りの電車がなくなり、駅から約2.5キロ南の国道3号沿いの飲食店駐車場で、エンジンをかけたまま止めてあった乗用車を見つけて運転したもので、所有者から通報を受けて、パトカーが25日午前2時半ごろ、同県大野城市の市道で乗用車を見つけた。 藤容疑者は当初、車内にあった男性の免許証を見せて逃れようとしたが、別人と判明して、酒のにおいがしたため、25日午前3時半過ぎに筑紫野署で飲酒検査をしたところ、呼気1リットル中0.2ミリグラムのアルコールが検出された。 福岡市消防局によると、藤容疑者は2009年4月に採用され、中央消防署に所属しており、救急隊に配属されて、救急車を運転することもあった。 24日は午前9時まで勤務していたという。 福岡市では、2006年8月に東区の「海の中道大橋」で、元市職員の飲酒運転による3児死亡事故が発生して、飲酒運転撲滅の機運が高まり、市も啓発活動を展開しており、4月からは県警と連携して飲酒事故の根絶などに取り組む「生活安全部」を新設する予定だった。 福岡県内の飲酒事故発生件数は2010年が全国最多の337件、昨年も全国ワースト2の257件と、全国最悪の水準を維持している。
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