名古屋市営バスの事故報告書虚偽記載など一連の問題で、国土交通省中部運輸局が7日、道路運送法に基づき、市交通局の全10営業所のバス10台を20日間、1台を10日間の計210日間の使用停止にする行政処分を出したことを明らかにした。 中部運輸局が過去に全営業所に車両の使用停止処分を出したことはなく、異例の重い処分になったもので、市交通局が使用停止の処分を受けるのは2009年11月以来2度目で、市交通局は、バスの使用停止でダイヤに影響が出ないようにするとしている。 名古屋市中川区の中部運輸局愛知運輸支局で7日午前11時、森祐次支局長が市交通局の青木康邦自動車部長に処分書を手渡し、市交通局は、使用停止処分を受けたバスのナンバープレートを同支局に提出した。 運輸局は行政処分から60日後以降に再度、交通局を監査して改善状況を確認するとしている。 運輸局によると、道路運送法はバス事業者に対し、死亡事故や10台以上の多重事故など15項目を国に届けるよう義務付けているが、市交通局は2010年度、乗客が全治11日以上の怪我をした事故21件を届けておらず、重傷事故もあった。 また、怪我をした乗客の治療状況も調べておらず、運輸局は医師の診断結果に基づく報告の徹底を求めた。 さらに、市交通局は2011年6〜9月に、「速度違反」、「基幹バスレーンを約210メートル逆走」、「有効期限切れの運転免許証で運転」の、3件の問題を起こしており、運輸局は7日、指導監督の徹底を促す警告書を出した。 運輸局は2011年10月、10営業所と名古屋市役所本庁舎の交通局を抜き打ちで立ち入り監査しており、市の内部調査では2007年度以降、市バス営業所で事故報告書を捏造して事故を軽微に見せかけるなどの不適正処理が269件発覚して、県警は2011年9月に道路交通法違反(事故不申告)の容疑で市バス営業所10カ所を、同12月には虚偽有印公文書作成容疑で交通局を家宅捜索した。 名古屋市交通局の青木康邦・自動車部長は市役所で記者会見し「市民、お客様の信頼を大きく損ねた」と陳謝し、記者会見で、青木部長は「再発防止策を確実に実施し、適正な事故処理を徹底する」と述べた。
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