東京や大阪などを流れる6河川で整備予定の「スーパー堤防」が、事業着手から24年経過した2011年3月末時点で、計画全体のうち、1.1%しか完成していないことが、19日に会計検査院の調査で明らかになった。 事業を進める国土交通省は整備率を5.8%としているが、検査院によると、同省は一部だけ完成した区間や着工しただけの区間を含めて整備率を算出しており、中には完成した部分が全くないのに、「完成」とした区間も判明した。 調査は2011年2月に国会の要請を受けて実施され、その結果、2011年3月末現在で、利根川や淀川など6河川の要整備区間計872.6キロのうち、スーパー堤防としての効果が認められた完成部分は9.4キロ余りにとどまることが分かった。 また、旧建設省の通達では、川沿いの街づくりと一体で進めるために市街地整備基本構想を策定した上で、構想に基づいた整備計画にのっとって整備するとされるが、6河川の着工済み全127地区で整備計画が作られていなかったことも判明し、利根川では、計画の前提となる基本構想すらないまま工事が進められていたという。 調査は国交省のほか、水資源機構が進めるダムや放水路建設などの事業も対象し、こうした事業では、費用が当初計画より大幅に増額されるケースが目立つが、既存資料からは増額の内訳が分からなかったり、保管期限が切れたなどの理由で関連文書が破棄されたりしていたという。
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