野田佳彦首相が年内の取りまとめを指示した「社会保障と税の一体改革」素案のうち、社会保障分野の骨子案が明らかになった。 被用者年金一元化では「公務員の特権」に切り込むことが期待されていたが、よりによって、公務員の優遇措置の存続に道を開く文言が盛り込まれていたことが判明した。 野田内閣は、財務官僚と公務員労組の利権維持のために存在しているとの見方が出ている。 骨子案は、厚労省が5日にまとめた社会保障制度改革案が下敷きで、12日に開かれた、藤村修官房長官と安住淳財務相ら関係5大臣会合で、小宮山洋子厚労相が示した。 注目すべきは、民主党を支持する自治労や日教組への露骨な配慮で、会社員らの厚生年金と公務員らの共済年金の一元化問題では、公務員ら共済年金加入者のみの特権となっている職域加算の廃止が焦点だったが、公務員労組から支援を受ける同党議員が「人事院が来年2月に公表する会社員と公務員の退職金比較調査の結果が出るまでは、共済年金の特権的な上乗せ部分である職域加算の取り扱いを決めるべきではない」と強硬に主張したという。 時間稼ぎをして法案の中身を骨抜きにしようという意図が明白で、小宮山氏が示した骨子案には「新たな人事院調査の結果を踏まえる」との文言が挿入され、存続に向けて検討する方針を記していた。 財務省主導で大増税路線を強行する野田内閣について、前提である「公務員優遇カット」を実行できないなら、国民の「野田離れ」はさらに進むことが必至だ。
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