北九州市が運営する小倉競輪の業務発注を巡る汚職事件で、「競輪祭」のイベントや広報宣伝などの受注業者は、元請けの共同事業体ではなく、収賄容疑で逮捕された市競輪事務所の元企画宣伝係長、杉本勝則容疑者(54)が実質的に選定していたことが、捜査関係者への取材で明らかになった。 杉本容疑者は競輪事務所での勤務が8年に及んでおり、県警は長期の勤務歴が癒着の温床になった可能性もあるとみている。 「競輪祭」は例年12月に行われる小倉競輪最大のイベントで、昨年度は年間売り上げのほぼ半分にあたる約111億円を売り上げた。 市は2006年から、競輪の運営業務の全般を民間2社による共同事業体に委託して、この事業体が個別の事業を発注していた。 市関係者によると、市職員は共同事業体を監督・指導する立場だが、「競輪祭」の広報宣伝業務などの企画は杉本容疑者による発案が慣例化しており、受注業者も杉本容疑者が実質的に決めていたとしている。 贈賄側のイベント企画会社「ドゥ・フォー・ユー」との契約は大半が随意契約だった。 競輪のイベント業界では「小倉の杉本」と呼ばれ、競輪事務所内で大きな影響力を持っていたといい、同事務所関係者は「共同事業体には広報やイベントのノウハウが少なく、熟知している杉本容疑者に頼る部分も多かった」とのコメントを出した。
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