小沢一郎・民主党元代表の政治資金規正法違反事件を巡り、東京地検特捜部で「虚偽」の捜査報告書が作成された問題で、法務・検察当局が担当検事と上司らを処分する方針を固めたことが明らかになった。 当時の地検幹部らには監督責任があるとみており、行政上の処分対象は5人前後になるとみられ、処分に合わせ、近く改善策もまとめるという。 2010年4月、東京第5検察審査会は元代表を「起訴すべきだ」とする最初の議決を行い、再捜査を求め、同5月、田代政弘検事が元秘書で衆議院議員の石川知裕被告を再聴取し報告書を作成したが、石川議員の「隠し録音」とは異なるやり取りがあったもので、この「虚偽」報告書は、上司が別に作成した5通の報告書と共に検察審に送られた。 検察関係者によると、田代検事は再聴取の際、報告書作成を予期せず、メモもとっていなかったといい、内部調査に「再聴取後、問答形式で報告書を作ることになり、(数カ月前の)逮捕・勾留中のやり取りとごちゃごちゃになった」と述べ、故意の虚偽記載を否定しているとされる。 上司の報告書の調査では、佐久間達哉特捜部長(当時)が元代表の供述部分などに下線を引いていたことが判明したが、佐久間前部長は「再捜査内容を分かりやすく説明するためだった」などと強弁し、強制起訴制度を盛り込んだ検察審査会法の改正を受け最高検も2009年4月、再捜査の要点を検察審に分かりやすく伝えることなどを求める通達を出しており「前部長らの対応は通達の趣旨から逸脱したとはいえない」(検察首脳)と結論づけるらしい。 しかし、法務・検察当局は、最初の議決を受けた再捜査の在り方や、通常は内部向けにとどまるとされる捜査報告書の作成方法などについて、担当検事と特捜部幹部、地検幹部などの間に意思統一ができていなかった点を問題視しており、田代検事を懲戒処分とし、当時の部長や副部長らにも一定の処分を下す方向で調整しているという。 改善策として、「議決を受けた再捜査にはそれまでとは別の検事を加える」「検察審向けの提出資料は捜査に関与していない検事もチェックする」などのルール化を検討している。
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