秋田県仙北市で2002年、交通事故に遭った男性が死亡したのは、搬送先病院の診断ミスで高度治療が可能な病院への転送が遅くなったのが原因として、遺族が病院設置者の同市や担当医を相手に計約1億4000万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、仙台高裁秋田支部が3月28日、請求を棄却した一審秋田地裁判決を変更し、同市と担当医に計約2500万円の支払いを命じたことが明らかになった。 卯木誠裁判長は、担当医は男性が腰に痛みがあると訴えていたのに、視診や触診などの必要な診察をせず骨盤骨折の発見が遅れたと認定し、早期に適切な治療ができる高次医療機関に搬送する決断をすべきだったとして、適切な診断と男性の転送ができていれば救命できた可能性が高いと結論づけた。 判決によると、60代の男性は2002年6月8日午後2時半ごろ、仙北市をオートバイで走行中、普通乗用車と衝突して負傷し、同市立田沢湖病院に搬送後、岩手医科大付属病院へ転送されたが、同病院に向かう救急車で心肺停止となり、到着後、骨盤骨折による出血性ショックで同日夕に死亡した。 仙北市は「判決の内容を精査し、今後の対応を考えたい」としている。
↧