名古屋市で昨年6月、市立高校1年の男子生徒が柔道部の練習中に頭を打ち、翌月に死亡していたことが明らかになった。 事故を受けて市は、柔道部を持つ市立高で外部講師による巡回指導を始めるなど、再発防止に乗り出し、新年度から中学1、2年の体育で、柔道などの武道が必修化されることもあり、男子生徒の遺族は「事故の教訓を共有する仕組みを考えて」と訴えている。 市教育委員会などによると、亡くなったのは同市瑞穂区、倉田さん(15)で、昨年6月15日、部員同士で練習中、大外刈りで畳に後頭部を強打し、その後、意識を失って、救急車で病院に運ばれて緊急手術を受けたが、7月23日、急性硬膜下血腫で死亡した。 練習場には当時、部員と顧問の40代男性教員の計10人がおり、倉田さんら6人が組み手の練習中だった。 倉田さんは身長約1メートル60、体重約50キロだが、中学では美術部に所属していたものの、「体を動かしたい」と高校では自ら柔道部を選んだという。 同高は、倉田さんの家族の意向や他の部員への影響に配慮して公表を控える一方、事故直後から原因調査を実施した結果、新入部員には受け身を集中的に学ばせており、指導方法に大きな問題はなかったが、安全策の強化は必要と判断したとしている。 また、顧問教員に柔道の経験が少ないことから、有段者で元顧問だった教員OBを外部講師として招く回数を年26回から66回に増やし、顧問だけの時は筋力トレーニングなどを中心にして、投げ技の練習はOBがいる時に限定するよう見直したとしている。 市教委も安全策を徹底し、市立高4校に外部講師を派遣して受け身の意味と正確な取り方、頭部外傷の起きるメカニズムなどの指導を始め、さらに、18日には教員向けの安全指導講習会を開く予定で、中学で武道必修化が始まることを踏まえて、全ての市立中学(109校)と高校(定時制含め16校)に最低1人の参加を義務付けている。
↧