沖縄県八重山地区(石垣市、与那国町、竹富町)の中学公民教科書が一本化されない問題で、文部科学省が県教委に対し、地方自治法に基づく是正要求の指示を出す検討を始めたことが12月30日、明らかになった。 育鵬社を選定した採択地区協議会の答申に従わず別の教科書を採択した竹富町に採択の変更を求めるもので、新年度を前に教科書の無償配布が決まらない場合、生徒の教育を受ける権利が侵害されるとして、竹富町の対応次第で指示に踏み切るとしている。 文科省では、県教委と竹富町が再三にわたる指導に従わないため、法令上、自治体に対する最も強い措置である是正要求を検討する必要があると判断したもので、地方自治法は、市町村の事務処理が法令に違反している場合、所管大臣が都道府県に対し、是正要求を行うよう指示することができると規定している。 この問題では、3市町で構成する採択地区協議会が8月に育鵬社を選定して、石垣、与那国両町は答申通りに採択したが、竹富町は東京書籍を採択し、地区内で同一の教科書採択を求めた教科書無償措置法に違反する状態になった。 このため文科省では県教委を通じ、竹富町に答申通り育鵬社を採択するよう指導し、10月には竹富町が東京書籍の採択を変更しない場合、無償措置の対象外とする方針を示した上で、自費購入案も提示し、年内に対応方針の報告を求めたが、竹富町は改めて採択を変更しない考えを示した。 地方教育行政法では、是正要求の要件として、法令違反に加え「生徒の教育を受ける権利が侵害されていることが明らかであること」と規定しており、文科省では現段階では要件を満たしていないとみているものの、新年度が差し迫ってもなお、竹富町が採択を変えず、自費購入も拒否する場合、要件を満たすとしている。 しかし、是正要求に従わなくても罰則はないため効果が無いことは明白で、総務省によると、是正要求は平成21年に住民基本台帳ネットワークの不参加問題で東京都国立市と福島県矢祭町に出された2例しかないが、いずれも従っていない前例がある。(編注:無駄とわかっていることをして時間潰しをするのはやめろ)
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