文部科学省が23日、東日本大震災での緊急時対応を自己検証した一次報告書を公表したところによると、東京電力福島第1原発事故の発生後、放射性物質の拡散予測システム「SPEEDI」のデータ公表が遅れたことについて「当初から公表する必要があった」と運用に問題があったことを認めた。 SPEEDIは原発から放出された放射性物質のデータに基づいてシミュレーションを行い、拡散を予測するものだが、福島第1原発事故の直後は放出源情報システムのダウンでデータが得られず、想定通りに稼働できなかった。 事故の翌日以降、仮定に基づく試算データでシミュレーションを始めたが、結果を公表したのは約2カ月も後になってからで、住民避難には役立てられなかった。 報告書は「放出源情報に基づく予測ができなくても仮定のデータでシミュレーションを行い、結果を当初から公表することが必要だった」と指摘したが、どのような判断で当初公表しなかったのかなどの経緯はさらに検証が必要として話を濁し、年度内をめどにまとめる中間報告まで先送りした。
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