沖縄県の八重山地区(石垣市、竹富町、与那国町)で来年度から使う中学校の公民教科書が決まっていない問題で、同県教育委員会が11月30日、文部科学省が求めていた同日までの一本化ができなかったことを同省に伝えたことが明らかになった。 同省は保守系の育鵬社版を答申した8月の採択地区協議会を有効とする姿勢を崩しておらず、このまま未定の状況が続いた場合、東京書籍版を採択した竹富町が国の無償措置から外れる見通しとなる。 無償措置から外れれば、1963年に教科書無償措置法が制定されて以来初めてとなり、竹富町は自費購入を迫られることになるが、同町によると、来年度から4年間で必要になる公民教科書は135人分(約9万5000円)で、9月には3市町教委の全員協議が東京書籍版を多数決で採択したことを根拠に、同町はあくまで東京書籍版での無償措置を求め続けるとしている。 八重山地区では、法定の報告期限である9月16日までに公民教科書が決まらず、文科省は県教委に対し11月末までに改めて一本化して報告するよう要請し、3市町教委は11月28日、県教委の呼びかけで意見交換したが、物別れに終わっていた。
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