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Channel: 公務員の不祥事
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ロシアの再処理提案文書を隠蔽「六ケ所」の妨げと

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 ロシアが2002年、日本の原発の使用済み核燃料をロシアで一時的に貯蔵(中間貯蔵)したり、燃料として再利用するため処理(再処理)するプロジェクトを提案する外交文書を送っていたことが、関係者の話で明らかになった。 内閣府の原子力委員会や経済産業省資源エネルギー庁の一部幹部に渡ったが、六ケ所村再処理工場(青森県)稼働の妨げになるとして、核燃サイクル政策の是非を審議していた国の審議会の委員にさえ伝えておらず、当時、漏水事故の続発で再処理工場の安全性を疑問視する声が高まり、不利な情報を握りつぶして政策を推し進める隠蔽体質が露呈した。 東京電力福島第1原発事故を受けて設置した政府のエネルギー・環境会議は、核燃サイクルを含むエネルギー政策を抜本的に見直すとしており、情報隠しが判明したことで、政策決定の妥当性に厳しい検証が求められることになる。 文書は2002年10月25日付のA4判2ページで、尾身幸次・元科学技術政策担当相宛てに、ロシア語で書かれており、ルミャンツェフ原子力相(当時)の署名がある。 受領した在ロシア日本大使館が日本語訳を付け、内閣府原子力政策担当室(原子力委員会の事務局役)幹部らに渡し、大使館はさらに2004年初めまでにエネ庁の一部幹部にもファクスで送ったという。 尾身氏は担当相を務めていた2002年9月、モスクワなどでルミャンツェフ氏と会談し、文書は「会談は原子力部門における露日の共同活動の最も有望な方向性を明確に示すことを可能にした」として、「一時的技術的保管(中間貯蔵)および(再)処理のために日本の使用済み燃料をロシア領内に搬入すること」を提案する内容だったという。 2003〜2004年、経産相の諮問機関「総合資源エネルギー調査会・電気事業分科会」や原子力委の「新計画策定会議」が、使用済み核燃料をすべて国内で再処理する「全量再処理路線」継続の是非を審議していた。 約19兆円とされる高コストやトラブルの続発を受け、六ケ所村再処理工場に初めて放射性物質を流す「ウラン試験」開始に異論を唱える委員もいたが、ロシアからの提案は知らされず、結局、再処理継続が決まって、2004年12月にウラン試験が行われた。 経産省やエネ庁の関係者によると、エネ庁幹部は当時、周辺に「極秘だが使用済み核燃料をロシアに持って行く手がある。しかしそれでは六ケ所が動かなくなる」と語っていたことが判明している。 海外搬出の選択肢が浮上すると、全量再処理路線の維持に疑問が高まる可能性があるため、隠蔽を図ったもので、ある関係者は「ロシアの提案は正式に検討せず放置した」、別の関係者も「原子力委とエネ庁の技術系幹部という一部の『原子力ムラ』で握りつぶした」と証言している。 原子力委は委員長と4委員の計5人で、他に文部科学省や経産省からの出向者らが事務局役を務め、重要な原子力政策を決定している。

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