九州電力玄海原発(佐賀県玄海町)へのプルサーマル導入に関する2005年12月の佐賀県主催の公開討論会で、九電が社員に賛成意見を述べさせる「仕込み質問」や社員らを動員させたことについて、佐賀県が22日、当時の県担当職員があらかじめ容認していたとする内部調査結果を明らかにした。 古川康知事の関与は事実上否定したが、知事の監督責任が問われることは必至だ。 この日発表された調査結果報告書では、動員や仕込み質問について、県側から九電に明確な指示や要請は確認できなかったとしているが、県原子力安全対策室は討論会の進め方などのシナリオ作成を九電に依頼するなど事前調整を重ねていたほか、当時の同室職員が「九電が参加するよう社員らに呼びかけるだろうことは認識していた」「関係者に質問するよう呼びかけていたことには気づいていた」と証言しており、職員は九電による動員や仕込み質問が討論会の運営や成果に影響を及ぼさないと考え、制止するなどの対応をとらなかったという。 一方で、文書記録では同室職員から知事への報告は確認できず、知事も聞き取り調査に「知らなかった」と話しているとして、知事の関与を事実上否定した。 九電の「やらせメール」問題を調査した同社第三者委員会(郷原信郎委員長)は最終報告書で、この討論会を「知事の意向によって作られたイベント世論」と指摘し、九電による一連の「やらせ」の原型になったと認定し、知事が仕込み質問について「全く気づかなかったとは考えにくい」としていた。 これに対し、知事は「覚えがない」として関与を否定し、知事の息がかかった牟田香副知事をトップとする調査チームを編成して、知事や当時の県職員、九電社員らから事情を聴くなど10月から内部調査をしていた。 公開討論会は同県唐津市で開かれて、717人が参加し、九電は社員らを大量動員したほか、質問者18人のうち賛成意見を述べた8人中7人が九電による仕込み質問者だったことが判明している。 古川知事は終了後に「安全性への理解はある程度深まったのでは」と理解を示し、2006年3月にプルサーマル発電に同意し、2009年11月に全国で初めて玄海原発で実施された。
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