福岡市で平成18年、飲酒運転で多目的レジャー車(RV)に追突して海に転落させ、幼児3人を死亡させたとして、危険運転致死傷と道交法違反(ひき逃げ)の罪に問われた元同市職員、今林大(ふとし)被告(27)の上告審で、最高裁第3小法廷(寺田逸郎裁判長)が、10月31日付で今林被告側の上告を棄却する決定をしたことが明らかになった。 業務上過失致死傷罪を適用して懲役7年6月とした1審福岡地裁判決を破棄し、危険運転致死傷罪などで懲役20年とした2審福岡高裁判決が確定することになる。 裁判では、今林被告が危険運転致死傷罪が適用される「飲酒の影響により正常な運転が困難な状態」だったかどうかが争点だったが、同小法廷は、同罪の成否の判断は、(1)事故の態様(2)事故前の飲酒量(3)酩酊状況(4)事故前の運転状況(5)事故後の言動(6)飲酒検知結果などを総合的に考慮すべきと指摘した上で、今回のケースは「事故前の飲酒で平衡感覚を保てないほどで、被告は相当程度の酩酊状態であった」と認定し、事故直前に今林被告が約8秒間、被害者の車に気付かず追突したことに触れ、適用解釈について「飲酒のため前方を注視して危険を的確に把握して対処することができない状態も、正常な運転が困難な状態に当たる」との初判断を示して、危険運転致死傷罪の成立を認めた。 決定は、5人の裁判官のうち4人の多数意見による結論となった。
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