国際テロの捜査資料がインターネットに流出した事件は、間もなく発覚から1年が経つが、犯人は114もの文書をネット上に公開する一方で、身元を慎重に隠す工作をしており、捜査が難航していることが明らかになった。 壁となっているのは、発信元の痕跡を隠す匿名化ソフトの存在で、警視庁は近く捜査状況を公表する見通しだが、突破口は開けておらず、日本の警察の能力の限界を超えている。 警視庁は偽計業務妨害容疑で捜査し、文書が昨年10月26日から多様なルートで拡散していたことが判明した。 ファイル共有ソフト「ウィニー」、フリーメール、ブログ・ツイッター、知り合い同士が閲覧できる「オンラインストレージサービス」と多様で、ウィニーには、米国やルクセンブルクのサーバー経由で流出したが、それ以上たどるのは困難という。 障壁がTor(The onion router)と呼ばれる匿名化ソフトで、世界に数千台あるとされる中継サーバーから経由地として数台を無作為に選び、途中のサーバーには記録が残らないようになっており、今回も使われた可能性が高いという。 捜査幹部は「海外当局への照会や捜査員派遣も続けているが、犯人に近付いているか分からない」と話しており、ルクセンブルクのサーバーをレンタル契約していたセルビアの通信事業者を割り出したが、有力情報は得られなかった。 流出文書には、北海道洞爺湖サミット警備に関する資料や在日イスラム教徒の個人情報などが含まれ、警視庁は昨年12月、「内部資料の蓋然性が高い」と謝罪した。 文書が作成された2004〜2009年にテロ対策に従事するなどした400人以上の私有パソコンや携帯電話、口座記録なども調査し、データを消去するなどした一部の警察官については十数回の聴取もしたが、関与の証拠は得られていないという。 在日イスラム教徒らが、地方公務員法(守秘義務)違反容疑で東京地検に告訴し、国家賠償訴訟も起こした。 被害者弁護団の岩井信弁護士は「捜査が進展していない印象で、不満だ」と話している。
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